こんなネット署名があった。
「亀田製菓さん、ブルボンさん:プラスチックの過剰包装を無くしてください!」というものだ。東京新聞の記事によると、2020年5月13日に始められたようだ。
内容はプラスチックごみを減らすため、菓子の過剰包装を見直すよう求めているものだ。「おいしさや形や品質の維持も大切なので、過剰なお菓子の包装やトレーなどのプラスチックゴミを減らす取り組みや、プラスチックにかわる材料・デザインを考えていただきたいです。」というあたり、それができれば世話はないと思うが、今回この記事を書こうと思ったのは「いきなりネット署名かよ、しかも相手を名指しで」と感じたからだ。
いきなり署名を募って相手に申し入れをするという驚き
このネット署名はchange.orgというサイトを利用して行われている。誰でも利用可能なサービスだ。
しかし、「署名を募り、相手に申し入れをする」というのは普通の手段なのだろうか。私の感覚では、署名というのはよほど切実な問題が生じているときに、しかも相手に非がある場合に行われる特別なものと思っていたので、相手に一度もアクセスすることもなくいきなり署名を突きつけるという行為はとても穏便なものとは思えず、衝撃を覚えた。
私にしてみれば、確かに市販の菓子はしっかりと包装され、結果的にプラスチックが多用されているが、法的にはもちろん、倫理的にも悪とは言えない程度の問題である。そのことについて、特定2社を名指しして改善を求めるというのはその2社を悪者と決めつけ、ケンカを売っているように思えたのだ。しかも、署名を突きつけた本人は匿名(ニックネーム)である。とてもフェアとは思えない。
それとも、ネット署名という手段は選択肢としてごく普通に取りうるものなのだろうか。これは今のところわからない。
問題意識が生じたときにどうするか
自分ならどうするか。
まず、よく考えること。自分は何に違和感を覚えたのか。どういう状態が望ましいのか。
「良くないこと、悪いこと」と自分が思ったとき、どう検証するか。個人的に気に入らないのか、常識の違いなのか。常識にも自分の常識、自分のお友達も同意見、同じ学年の常識、うちの学校の常識、学生の常識、地元の常識、日本の常識、世界の常識と様々だ。
又は、モラル違反(社会通念上は問題)なのか、法令違反(明らかな悪)なのか。その根拠は何か。
次に、よく調べること。今回で言えば、なぜ「過剰包装」されているのか。理由があるはず。企業もコストを考えれば簡易包装に越したことはないはずだからである。できるだけ正しい情報に当たること。立場や年齢の違ういろいろな人に意見を聞いてみること。相手がいて、差し支えなければ、その本人になぜそのようなことをするのか聞いてみること。企業ならお客様相談室のような窓口がある。
そして行動は慎重に選択すること。強く当たれば強く返ってくる。自分や相手の立場や状況、自分の行動が及ぼす影響も考えてみる。
例えば、今回は特定2社を名指ししている。ネット署名を募った本人は「話を聞いてくれると思ったから」とのことだが[3]、署名を募る記事本体にそのような記述はないので、その2社を批判していると受け止められても仕方がない。場合によっては相手から名誉棄損、威力業務妨害だとして訴えられる恐れもある。
自分が受ける側になったらどうするか
今回の件を見て思うのは、誰でも極端な手段を取りうる時代になったということだ。
まず、受ける側の立場に立たされる可能性だが、企業に限らず団体や個人でもありうる。リスクと考えると対策が必要だ。逆に、注目を浴びるチャンスかもしれない。炎上商法さえあるのだから。
リスク対策としては今のところ顧客との信頼関係を深めることくらしか思い浮かばない。
月並みだが、顧客満足度を高めること、情報公開に努めることだろう。情報公開については特にポリシーを表明することが大切だと思われる。なぜそのようなことをしているのか、きちんと説明することで理解が得られるし、場合によっては味方になってくれるかもしれないからだ。
関連リンク
- 亀田製菓さん、ブルボンさん:プラスチックの過剰包装を無くしてください!
- 「お菓子の過剰包装やめて」女子高生がネット署名活動 ステイホームでゴミ増加(東京新聞、2020年6月4日 14時35分)
- 大企業の脱プラを促進する高校生(オルタナS、2020年7月17日 8:43 AM)
- 高校生「プラ過剰包装やめて」広がる署名 “個包装”にも利点、多様な視点生かすには
井出留美 (Yahoo!ニュース、7/22(水) 10:00) ※ - 亀田製菓
- ブルボン
※Yahoo!ニュース 井出留美氏の記事より抜粋
・容器包装により賞味期限が6倍に延長 食品ロス削減も
・直射日光や湿気防止のため高機能の特殊フィルムを使う場合も多い
・容器重量だけでなく、開けやすさ・捨てやすさも考慮して消費者の使いやすさや食品ロス軽減
・「メタアナリシス」という考え方
研究の世界では「メタアナリシス(meta-analysis)」という考え方がある。一つの研究結果だけで断定するのではなく、複数の研究結果を俯瞰し、総合して判断する解析方法をいう。
・メーカー役と消費者役のロールプレイングも効果的

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