子どもの頃、父がプラネタリウムに連れて行ってくれたことがあった。それがきっかけでしばらくは星を良く眺めたものだが、数学や物理が苦手なこともあって遠ざかっていた。
しかし、40歳を過ぎて人生の後半に入り、やっておきたいことを考えたとき、思い浮かんだのは宇宙のことをもっと分かりたいということだった。
放送大学で開講されている、宇宙に関する科目を受講してみると、特にここ20年くらいの間に著しい進展があったことを実感する。例えば、現在では銀河が泡状に連なる大規模構造があることが観測的にわかっている。90年代前半では銀河の距離を一つ一つ計測し、配置することでグレートウォールと呼ばれる構造があることが判明したが、現在の知識からすれば、銀河の泡のごく一部だったということになる。
観測技術の発展は多くの研究者のたゆまざる努力のたまものであり、2019年にはついにブラックホールの撮影に成功した。その成果に驚嘆したが、一方で、巨額の設備投資と高度な技術で得られるものに、素人ではとてもついて行けないという思いもあった。子どもの頃素朴に感じていたもの、例えば宇宙にはいろいろな天体、恒星や惑星、銀河などがあっておもしろいとか、地球がどのように生まれ、生命が発生して現在に至っているのだろうとか、そういう好奇心を満たせるのは専門家だけで、素人はそれを情報として受け取るだけなのだろうかと。自分は小さなことでもよいので自らの手で知りたい、分かりたいのだ。
2018年の夏は、火星大接近が話題となった。 GoogleMapで火星が見られる時代に個人が望遠鏡を持つことには迷いがあったが、思い切って口径8cmと小型の屈折望遠鏡を買い、覗いてみた。
火星は黄色に近いオレンジ色の円盤状に見えた。「とりあえず点ではない」という程度で模様を見るには至らなかった。やはり期待しすぎたかな、と思った。
でも近くに木星と土星が輝いていた。木星は四大衛星と数本の縞模様、土星はくっきりと輪が見えた。黒い背景に浮かぶその様子を見て、今、はるか彼方にこれらが存在していることを実感した。探査機や大型望遠鏡の撮影した画像とはかけ離れているが、自分の手で望遠鏡を星に向け、視野にとらえること、今この瞬間に届いた光を見ていることはそれなりに手ごたえのあるものだと感じた。
やはり、もっと宇宙のことを知りたい。
だから今、「算数でわかる天文学」という本を読んでいる(苦笑)

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